薪ストーブで後悔しやすいことと、その防ぎ方

2026年10月 確認まきどこ編集部

薪ストーブで後悔につながりやすいのは、本体以外の費用、薪の確保と置き場、煙とにおい、毎年の手入れです。どれも設置する前に確かめておけば、多くは防げます。総額での見積り、薪の買い先、煙突の位置の3つを先に決めておくことが近道です。

薪ストーブのデメリットと防ぎ方

後悔につながりやすい点を7つに分けました。「起きやすいこと」は公的機関や専門店が公開している内容です。

後悔しやすい点起きやすいこと防ぎ方出典
費用が本体以外にかかる 専門店の公開例では、本体20〜100万円に対し、煙突などの材料45〜65万円、工事費20〜55万円で、総額100〜160万円が目安です。 本体の値段ではなく、煙突と工事を含めた総額で見積りを比べる。 詳しくは費用の目安。 エープラス
薪の確保と保管 長野県の調査では、1年の薪の使用量は平均9.0㎥でした。薪の入手で最も苦労することは「入手先探し」が33%、「薪割り・切断」が24%でした。 設置前に薪の買い先と置き場を決める。道路沿いに無造作に積む、家の壁際に積むといった置き方は避ける(田原市)。 詳しくは薪の値段と買い方。 長野県、田原市
煙とにおい、近所への影響 環境省のガイドブックは、煙突が低すぎた例や、煙突の先の近くに隣家の窓があった例、乾いていない薪を燃やした例をトラブルとして挙げています。 乾いた薪を使い、煙突の高さと位置を隣家の窓や物干し場から考えて決める(下の節)。 環境省
手入れ 暖冬舎は、毎日の手入れをストーブ周りの掃除とガラス拭き程度とし、本体と煙突の点検清掃はシーズンオフに一度は行ったほうがよいとしています。山形県は、3〜5年に1度は専門家に本体と煙突のフルメンテナンスを頼むよう勧めています。 煙突掃除を頼む先と料金を、買う前に確かめておく。 詳しくは煙突掃除の頻度と頼み方。 暖冬舎、山形県
部屋の暖まり方 暖冬舎は「家中を暖める事は可能ですが、家(空間)の広さや間取りにもよります」としています。 間取り図を店に見せ、置く場所とストーブの大きさを相談する。 暖冬舎
火災保険の申告 火災保険では、建物の構造や使い方(用法)が契約時に伝える事項、その変更が契約後に知らせる事項とされています。 設置の前に、加入している保険会社か代理店に申告の要否を確認する(下の節)。 日本損害保険協会
賃貸住宅 薪ストーブは、煙突を屋根や壁から外へ出す工事が必要です。 工事の前に、貸主(大家さん)や管理会社に確認する。 北海道リンクアップ

費用は、暖冬舎が「本体定価45~65万円(税別)クラスで おおよそ90~120万円(税別)くらいのご予算が必要」と公開しています。炉台の費用は別です。本体だけで予算を組むと、煙突と工事の分が足りなくなります。市町村の補助金が使える場合もあり、多くは購入や工事の前の申請が条件です(薪ストーブの補助金)。薪の確保が負担なら、燃料を袋で買うペレットストーブと比べる方法もあります。

出典:エープラス「薪ストーブにかかるお金のこと」、暖冬舎「よくある質問」、長野県環境保全研究所・長野県林務部「薪ストーブ利用実態調査結果」(2011年6月、有効回答241世帯)、山形県「薪ストーブの設置や使用の注意事項」、北海道リンクアップ「薪ストーブの後付け」(2026年9月28日確認)。長野県の調査は2010年11月〜2011年1月に行われたものです。

薪ストーブの煙で近所から苦情が来ないために

薪ストーブの煙やにおいについては、環境省や自治体が注意点を公開しています。共通しているのは、乾いた薪を使うこと、煙突の高さと位置、近所への説明です。

  1. 乾いた薪を使う:環境省のガイドブックは、含水率(薪に含まれる水分の割合)20%程度以下の薪が望ましいとしています。山形県は、水分を多く含むとPM(粒子状物質)や一酸化炭素などがより多く出るとしています。乾いているかは、叩いたときに乾いた高い音がするかで判断できるとしています。
  2. 焚き付けのときの煙に気をつける:田原市は「どんな薪ストーブでも、本体と煙突が冷えている時には、煙や煤の発生が起きやすい」としています。環境省のガイドブックは、煙突が冷えていると煙を引く力(ドラフト)が弱いため、丸めた新聞紙などを燃やして立ち上げる手順を示しています。空気を絞りすぎないことも大切です。
  3. 煙突の高さと位置を決める:山形県は、煙突をできるだけ垂直に高くすると、地面の近くでにおいを感じにくくなるとしています。環境省のガイドブックは、隣家の窓・給気口・物干し台の近くや、隣家のひさしより低い位置に煙突を出すことを避ける例に挙げています。隣が高い建物だと、屋根より高い煙突でも煙が流れていくことがあります。
  4. 冬の風向きを調べる:札幌市と田原市は、使う時期の風向きを調べて、煙の行き先を把握するよう案内しています。
  5. ごみを燃やさない:山形県は、薪ストーブでごみを燃やすことは不法焼却(違法行為)にあたるとしています。塗料や防腐剤が付いた建築廃材も使わないよう、環境省が呼びかけています。
  6. 工事の前に近所へ説明する:田原市は、施工前に近所へ説明しておかないと、トラブルや苦情の原因となり、使えなくなる場合があるとしています。環境省のガイドブックも、近所とのコミュニケーション不足がトラブルの原因になる場合があるとしています。

掲載店のS Living Design(南魚沼市)は、もくもくとした煙のいちばんの原因を不完全燃焼としています。原因には、乾いていない薪、薪の入れすぎ、空気口の絞りすぎを挙げています。完全に燃えていれば「煙はほぼ透明で無臭に近い」としています。

湿った薪は、煙突にススやタールが付く原因にもなります。薪の乾かし方と買い方は薪の値段と買い方にまとめています。

出典:環境省「木質バイオマスストーブ環境ガイドブック」(2012年8月)、山形県「薪ストーブの設置や使用の注意事項」、田原市「薪ストーブの使用にご注意ください」、札幌市「木質バイオマスストーブを設置予定の方及び、ご使用されている方へ」、S Living Design「煙でご近所トラブル!?」(2026年9月28日確認)

薪ストーブと火災保険、賃貸で確かめること

日本損害保険協会は、火災保険の契約時に伝える「告知事項」に建物の構造・用法(使い方)を挙げています。契約後に知らせる「通知事項」には、建物の構造・用法の変更を挙げています。故意または重大な過失で正しく伝えなかった場合、契約が解除され、保険金が支払われない場合があるとしています。

薪ストーブの設置がこの変更にあたるか、保険料が変わるかは、協会のページには書かれていません。扱いは保険会社や契約によって違う可能性があります。設置する前に、加入している保険会社か代理店に確認してください。

賃貸住宅の場合、煙突を屋根や壁から外に出す工事が必要になります。工事の前に、貸主(大家さん)や管理会社に確認してください。

出典:日本損害保険協会「損害保険Q&A 問59」(2026年9月28日確認)

掲載店が公開している注意点

まきどこの掲載店が、サイトで公開している注意点です。

  • 暖冬舎(新潟市):煙やにおいについて「乾燥した薪を使用し、空気の絞り過ぎによる不完全燃焼を起こさないようしっかりと焚いて下さい」と答えています。薪の使用量は、主暖房か、週末だけ使うかなどで違うとし、使用量と購入した場合の試算資料を用意しているとしています。
  • 北海道リンクアップ(札幌市):においや煙が近所とのトラブルを招く可能性があるとしています。隣が戸建てなら直接説明して解決する場合もある一方、集合住宅からの苦情は「解決が容易ではありません」としています。また、壁から出した煙突に屋根の雪が落ちると、煙突が壊れるおそれがあるとしています。
  • S Living Design(南魚沼市):薪は1〜2年かけて乾かし、水分量20%以下が理想としています。性能を引き出すには、正しい煙突選びと設置、煙突のメンテナンスが大切だとしています。

隣家との距離、冬の風向き、雪の落ち方は、家ごとに違います。現地を見てもらったうえで、煙突の位置や高さを相談するのが確実です。

出典:暖冬舎「よくある質問」、北海道リンクアップ「薪ストーブの後付け」、S Living Design「煙でご近所トラブル!?」(2026年9月28日確認)